鵺塚(芦屋)

【ぬえづか(あしや)】

京都で退治された謎の怪物【鵺】は、死んでもなお謎の存在であった。鵺の死骸を埋めた場所というのが何カ所もあるのだ。その一つがこの芦屋の鵺塚である。

一説によると、鵺の死骸は悪疫を招くということで丸木船に乗せて川に流してしまったらしい。そしてその死骸はどうやら大阪の都島に漂着したようである(ここにも【鵺塚】が存在する)。しかしここでも悪疫をもたらしたということで、更にまた舟に乗せられた死骸は流されることになった。最終的に漂着したのが、この芦屋の浜であったという訳である。

芦屋の浜に打ち上げられた鵺の死骸であるが、やはりここでも祟りを起こし、悪疫をまき散らしたらしい。この付近の人々は祟りを恐れて、鵺の死骸を丁寧に葬った。それが【鵺塚】なのである。芦屋の浜から他所へ鵺が流れ着いたという話を聞かないから、多分鵺はここで本当に埋められた可能性が高い。

<用語解説>
◆鵺
頭は猿、身体は狸、手足は虎、尾は蛇という妖怪。近衛天皇(あるいは二条天皇・鳥羽天皇)の御代に夜な夜な御所の上空に現れ、天皇はその障気で体調を崩した。そこで源頼光の子孫である源頼政が弓矢をもって退治したという。この芦屋に鵺の死骸が漂着したと記しているのは『平家物語』である。

アクセス:兵庫県芦屋市浜芦屋町