深泥ヶ池
【みぞろがいけ・みどろがいけ】
周囲約1500メートルの池であり、氷河期から生き残っている生物もおり、生物群集が天然記念物として指定されている。学術的にも貴重なエリアであるが、多くの伝承が残されている池でもある。その名の由来であるが、行基がこの池から『弥勒菩薩像』を発見したことから始まるらしい(あるいはここに深泥池地蔵堂を置いたという伝承から)。一般的には、泥が大量に堆積している底なしの池という意味から「みどろがいけ」と呼ばれているが、伝承的な側面から言えば、弥勒や地蔵という音から「みぞろがいけ」と呼ぶ方が正しいようにも感じる。
この地はちょうど洛中から鞍馬街道へ向かう分岐点であり、まさに人里から異界への境界線上であるという認識があったようである。そして“鬼が出てくる穴”というものが存在していたという。その出現してくる鬼を退治するために、始まったのが『豆まき』であるというのである。
昭和初年頃には【豆塚】なるものがあった言われているが、今ではその所在していた場所すら不明である。一説によると、深泥ヶ池から少し離れたところにある深泥ヶ池貴船神社の境内にそれがあったと言われている。
<用語解説>
◆深泥池地蔵
深泥ヶ池の畔には明治の廃仏毀釈の頃まで地蔵堂があった。この地蔵は“六地蔵”の一つで、京都からそれぞれのエリアの主要な街道を抜ける場所に置かれていた(現在でもこの六地蔵は全て残っており、8月下旬に“京都六地蔵巡り”と称して参拝が続けられている)。深泥池にあった地蔵は、現在、上善寺に移転して鞍馬口地蔵と呼ばれている。
アクセス:京都市北区上賀茂深泥池町