鈴木屋敷

【すずきやしき】

全国で2番目に多い姓と言われる鈴木氏であるが、この姓の発祥とも言うべき地がこの鈴木屋敷である。

鈴木氏は熊野三党の一つとして、熊野神社と深く関わりを持つ一族である。平安期に熊野の地から藤白へ移住し、その地の王子社(現在の藤白神社)の神官を代々務めた。この一族が熊野信仰の普及のために全国各地を訪れ、多くの分家をつくり、信仰者に姓を与えたことによって、鈴木姓が全国に広まったとされる。

鈴木屋敷は藤白神社の敷地内にあり、代々の鈴木氏の本家が居住していた。またこの屋敷の敷地には義経弓掛松があり、源義経が熊野詣でをした際に何度か訪れているとされる。実際、義経の家来の鈴木三郎重家は鈴木家の当主であり、また義経四天王の一人で弓の名手とされた亀井六郎重清は重家の実弟である。

<用語解説>
◆鈴木氏
本姓は穂積氏。穂積氏から熊野三党と呼ばれる、鈴木・榎本・宇井氏が起こる(この三党が熊野信仰の象徴である八咫烏の三本足に当たるとも言われる)。平安期に藤白の地に移ってきた藤白鈴木氏が、鈴木姓の総本家であるとされる。ただし昭和17年(1942年)、122代目当主の死によって総本家は断絶している。

アクセス:和歌山県海南市藤白