ゆるぎ橋

【ゆるぎばし】

伊豆七不思議の1つ。場所は非常にわかりにくく、国道136号線から天窓洞へ向かう歩道の階段を下りる途中にある小さな石碑が目印である。よく見ると、そばに橋の板材と思しきものがコンクリートの壁面に掛けられてあり、これがゆるぎ橋の遺物であると分かる。

天平の頃(729~749年)、この付近を荒らしていた海賊がいた。その首領は“墨丸”といい、海を行く船を襲ったり、近隣の村の産物を奪ったりしていた。ある時、墨丸の一団は、朝廷に納めるために集められた砂金を奪い取った。そして村の薬師堂の近くにあった橋を渡ろうとすると、なぜか橋が大きく揺れて渡れない。部下達が橋の下に落ちるのを見ながら、最後に墨丸も渡ろうとするが、橋は一向に揺れを止めない。それどころか突然仁王様が現れて、墨丸をつまみ上げると、薬師堂の前に連れて行ったのである。そこで墨丸は、薬師如来から直々に仏の教えを説かれ、ついには改心して、薬師堂の堂守として残りの人生を全うしたという。

この伝説から、ゆるぎ橋を心悪しき者が渡ろうとすると、地震のように橋が揺れて渡ることが出来ないという言い伝えが生まれた。また一説では、月経の女性が渡ろうとすると橋が揺れるのだとも伝わる。さらに、この橋の一部を削って火をつけたものを子供に見せると、夜泣きや夜尿に効くのだとも言う。

<用語解説>
◆伊豆七不思議
大瀬の神池・函南のこだま石・堂ヶ島のゆるぎ橋・手石の阿弥陀如来・河津の酒精進鳥精進・独鈷の湯・石廊崎権現(石室神社)の帆柱。

アクセス:静岡県賀茂郡西伊豆町堂ヶ島