動字石

【どうじせき】

石動(いするぎ)山は泰澄によって開山された、北陸では白山と並ぶ一大霊地であった。かつては衆徒3000人を抱える天平寺があり、幾度も戦火によって焼失したが、加賀藩の庇護の下で栄えていた。しかし明治の廃仏毀釈によって寺院は徹底的に破却され、今では伊須流岐比古神社が残されているだけである。現在は、国の史跡に指定され、寺院の発掘調査がおこなわれて整備が進んでいる。

この石動山は、泰澄による開山以前から信仰の山であったとされる。その象徴が動字石である。この石は別名を「天漢石」と称し、天から降ってきた星が石と化したものであると伝えられる。この石が山に落ちてきた時に山全体が揺れ動いたことから「石動」という名が出来たともされている(泰澄が開山するまでは山が振動していたともされる)。神社の境内から少し離れた場所にあるが、石そのものが信仰の対象であることが分かるように祀られている。

しかしながら科学的な調査によると、この動字石は隕石ではなく、安山岩であることが判明している。

<用語解説>
◆泰澄
682-767。奈良時代の修験僧。朝廷より国家鎮護の法師に任ぜられる。白山を開山し、その後全国各地を修行して回ったとされる。

アクセス:石川県鹿島郡中能都町石動山