兜神社

【かぶとじんじゃ】

東京証券取引所のすぐそば、首都高速道路が真後ろを走るというとんでもない都会の一隅に兜神社はある。日本経済の中心地の一つに置かれた神社は、現在では商業の神様としてこのエリアの守護をしている。由来によると、この近辺にあった兜塚が兜神社(源義家が祀られている)となり、更に鎧稲荷(平将門が祀られている)が合祀されて今の兜神社となったようである。合祀後の明治初期に祭神の源義家を廃して倉稲魂命を勧請し、現在に至っているようである。つまりこの神社そのものは既に伝説的二人の武人とは何の関係もないことになる。

しかし、この神社の名になった“兜”にまつわるものは残されている。それが兜岩である。この兜岩についても二人の武人が大いに絡んでくる。

義家の関連で言うと、東北凱旋後の義家が鎮定のために兜を埋めて塚をなした、あるいは義家が東北遠征のおりに兜を岩に掛けて必勝祈願をした。将門の関連で言うと、藤原秀郷が将門の首を兜を添えて持ってきたが、この地で兜だけを埋めて塚をなした。いずれも決定的な証拠はないのだが、何らかの祭祀がかなり昔からおこなわれていた場所であることは間違いないところである。

アクセス:東京都中央区日本橋兜町