三女神社

【さんにょじんじゃ】

祭神は、天照大神と素戔嗚尊の誓約(うけい)の際に誕生した田心姫命・湍津姫命・市杵島姫命。いわゆる“宗像三女神”と呼ばれる神々で、この三女神を祀った神社故に「三女神社」の名となったのは間違いないところである。

この神社が安心院の町に創建されたのには、次のような伝承が残る。

三女神が宇佐嶋へ降臨する際、母である天照大神が天安河原にあった石を1つ取り上げ、「この石の落ちた場所に鎮座せよ」と下界に投げ落とした。この石が留まったのが当地であるとされる。その証拠となる石が今もこの神社の境内にあり、“三柱石”と呼ばれている。その形は細長い棒状の陽石で、まさに天から降ってきて大地に突き刺さったかのような姿である。言い伝えでは、この石を掘り出そうとしたところ、天は暴風雨となり、地は大音響と共に揺れたとされ、それ以降は触れる者もないという。そのような話もあり、現在ではこの三柱石は「安心院の七不思議」の1つとして数えられている。

<用語解説>
◆“宇佐嶋”の地名
『日本書紀』の一書に三女神が“葦原中国の宇佐嶋に天下った”と記されている。この地については三女神社では当地(宇佐郡安心院)としているが、宇佐市にある宇佐神宮の社伝では、神宮の南に位置する御許山であるとしている。この山の頂には3つの巨石があり、これを磐座として信仰している(この巨石にはそれぞれ凹みがあり、陰石であるとも推定される)。また山頂付近には宇佐神宮の奥宮とされる大元神社があり、祭神は同じく三女神とする。なお宇佐神宮の祭神である“比売大神”はこの三女神であるとしている。

◆安心院の七不思議
現在七不思議として数えられるものは、三女神社の三柱石、水沼井、常副の五輪塔、最明寺・鳴かずの蛙、安心院の生き仏、快長院の人柱、下市磨崖仏・乳不動としている。この中で、水沼井も三女神ゆかりの伝説が残されている。

アクセス:大分県宇佐市安心院町下毛