化女沼
【けじょぬま】
化女沼は現在ではダム湖となっているが、以前は自然の湖沼であった。そのために今でも数多くの水生植物が繁茂、水鳥の越冬地となっており、平成20年(2008年)にはラムサール条約の登録を受けている。
この不思議な名前の由来となった伝説が残されている。この沼のそばに、かつて一人の長者がいた。その長者には美しい一人娘がいた。名は照夜姫と言い、毎日のように沼へ来て日を過ごしていた。その美しさのために、いつしか姫が沼のほとりに近づくと、水面にたくさんの蛇が集まるほどであったという。
ある時、一人の旅の美男が長者の家にやって来て、宿を借りることになった。照夜姫とはすぐに相思相愛の仲となったが、また旅を続けるためにと男は去って行った。
男との別れを嘆き悲しんでいた照夜姫であったが、しばらくして突然の体調の異常に気づく。そのまま産気付いた姫は、その夜のうちに子供を産んだ。しかし赤子は人間ではなく、白蛇だったのである。驚く姫をよそに、生まれた白蛇は沼の底へと沈んでいった。そして姫もその後を追うようにして、愛用の機織りの道具を持って沼へ身を投げたのである。
それから毎年7月7日には、沼の中から機織りをする音が聞こえてくると伝えられる。
アクセス:宮城県大崎市古川川熊