大神山八幡宮 座頭宮
【おおかみやまはちまんぐう ざとうのみや】
大神山八幡宮の境内にはいくつかの祠があるが、その中の1つに祀られているのが座頭宮である。この宮には1つの言い伝えがある。
このあたりには豊川稲荷へ行くための豊川道という街道があり、大知波には峠があった。ある時、その峠を越えるために二人の盲目の姉妹が通りがかった。まだ年端もいかない娘であったが、琵琶の免状を貰うためにはるばる東国からやって来たのだった。峠に至る道に迷ったので、近くで働いていた農夫に行き道を尋ねた。ところが、その農夫はつい悪戯心で、峠へ行く道とは別の方角を教えたのであった。間違った道とは知らず、娘達は礼を言って、その道を歩いて行った。
数日後の大雨の後、崖の下で二面の琵琶が見つかった。村人は旅路を急ぐ盲目の姉妹のことを思い出した。おそらく道を間違えて崖から滑り落ちてしまったのだろうということで片付けられた。しかし、その出来事があってから、件の農夫の家には不幸が次々と襲った。特に顕著だったのが、生まれてくる子供が不具の子、しかもほとんどが目の見えない子供ばかりだったのである。
ようやく不幸の原因が、出来心で間違った道を教えたために命を失った姉妹の祟りであると悟った家の者は、大慌てで祠を建てて祀ったのである。それが座頭宮の始まりであるという。座頭宮は、市杵島姫命(弁財天)と共に同じ祠に祀られており、今でもこの農夫の子孫によって守り継がれているという。
<用語解説>
◆大神山八幡宮
足利義政・今川義元・徳川家康などの寄進を受け、武門から篤く敬われた神社。「大神」の名称は大和の大神神社から勧請されたとの伝承も残る。
アクセス:静岡県湖西市大知波