菖蒲沼跡/鹿沼公園

【しょうぶぬまあと/かぬまこうえん】

相模原に残る、デイラボッチ(ダイダラボッチ)伝承ゆかりの地である。

大昔、雲に届かんばかりの大男、デイラボッチがいた。ある時、東の方に高い山がないので、富士山を東に持ってこようと思い立ち、抱え上げると動かしだした。ところが、さすがに富士山は大きくて重いので途中で一休みしようと、山を地面におろしてそこに腰掛けて一服した。しばらくしてまた運び始めようとしたが、山に根が生えてしまって持ち上がらない。何とかしようと頑張ったが、結局動かせないと分かるとそのまま富士山をほったらかして動かすのを止めてしまったという。その時、足を踏ん張った場所が菖蒲沼と鹿沼であると言い伝えられている。

どちらの沼も相当以前に埋められてしまい、菖蒲沼の方は跡地であることを示す石碑が建っているのみで、全く痕跡を残していない。一方、鹿沼の跡は公園用地となり、昭和48年(1973年)に鹿沼公園となった。公園の中心部には白鳥池という、鹿沼の名残を伝える池があり、その形は巨人の足を想起させるものになっている。

<用語解説>
◆ダイダラボッチ
全国各地に伝説が残る巨人。山の成り立ちにまつわる伝承や、手形や足形が池沼となった伝承などが残されている。

アクセス:神奈川県相模原市中央区淵野辺/鹿沼台