三郎丸の大樟
【さぶろうまるのおおくす】
樹高15m、幹周りは4mを越える大木であり、樹齢も1000年を超えるとも言われている。隣接する土地に神社があったり、この木を迂回するように道が出来ていることから判るように、周辺の人々から神木として崇められている。実際、この木の根元には石碑が建てられ、注連縄が張られている。また根元に造られた石垣は、石碑と同じ明暦元年(1655年)に庄屋の古江八右衛門が築いたものであるとされる。ちなみに“三郎丸”の名称は、この付近の地名から採られたものである。
この巨木には河童にまつわる伝説が残されている。ある時、河童が牛を遠賀川に引きずり込もうとしたが、逆にそのまま引きずられてしまい、この大樟の木の下で力尽きてしまった。村人は、川で河童に襲われて人が亡くなることを憎んで、木に縛りつけると殺そうとした。そこで河童は命乞いをして、二度とこの集落の者の命を奪わないと約束した。河童は許され、それ以降口春の者が溺死することはなかったという。
一方、別の話も存在している。河童は許されたが、縛りつけられた木が憎くてたまらない。そこで河童はこの木の根元を掘って、木を枯らそうとしたという。残念ながら、河童の復讐は不首尾に終わったと見るべきだろう。
アクセス:福岡県嘉麻市口春