志古淵神社

【しこぶちじんじゃ】

安曇川流域には「しこぶち」という名の神社が7つある。その中で唯一京都府域にあるのが、久多の志古淵神社である。この7つの神社には河童にまつわる伝説が残されている。

志古淵さんという筏乗りの名人がいた。ある時、子供を乗せて筏で川を下っていたが、一人の子供の姿が見えなくなった。川をせき止めて探してみると、河童が息子を抱えて岩陰に隠れていた。川をせき止められて水場を失った河童は命乞いをした。そこで志古淵さんは、菅笠をかぶり、蓑をつけて、蒲の脚絆をを巻いて、草鞋を履き、コブシの竿を持った筏乗りには決して悪さをしないと誓わせて助けてやった。それから安曇川流域の筏乗りは皆、志古淵さんと同じ格好で筏に乗るようになり、事故もなくなったという。そこで志古淵さんを筏の神様として神社に祀ったのである。

別の話では、息子を助けるために河童と交渉して、年に3人だけ人の子をやると認めてしまった。そのために、安曇川流域では毎年3人の水死人が出るようになったともいう。

<用語解説>
◆久多へのアクセス
行政区は京都市であるが、京都側からのアクセスは、あまりの隘路のため四輪ではほぼ無理。国道367号線で一旦大津市へ抜けて県道・府道を利用するのが無難。ただしこのルートも相当狭くて厳しい。公共交通機関については1日数本のバスで、しかも最寄りバス停より2時間以上の徒歩で行くしかないので、アクセスはほぼ不可能である。

アクセス:京都市左京区久多中の町