円光寺
【えんこうじ】
安倍晴明の子孫である土御門(つちみかど)家は、七条御前通を南へ下がったところに邸宅を構えていた。その邸宅跡に建てられたのが円光寺である。菩提寺である梅林寺とは通りを挟んで斜め向かい、ほんの十数メートルほどの距離である。
円光寺も梅林寺同様に、一般公開されている寺院ではない。その庭園の一角に渾天儀の台石が置かれているのである。実際に土御門家の邸宅で天体観測が行われたという文献があるということで、もしかすると本当に観測道具として使っていたものなのかもしれない。
<用語解説>
◆土御門家
安倍晴明から数えて14代目の有世(1327-1405)を祖とする。実際に土御門を公式に名乗るようになったのは有脩(1527-1577)の頃とされる。応仁の乱以後若狭国名田庄に下っていたが、久脩(1560-1625)の代に徳川家康の命によって京都に戻り、陰陽道宗家と認められる。泰福(1655-1717)の代に全国の陰陽師の支配と免許の権限を得て、また土御門神道を確立する。