松浦一酒造 河伯のミイラ
【まつうらいちしゅぞう かっぱ<かはく>のみいら】
松浦一酒造は正徳6年(1716年)より酒造りを営んできた家であり、その祖先の田尻氏は筑後の豪族で、鍋島直茂によって現在の土地を与えられて定住したとされる。その家にいつの時代からか伝えられたのが「河伯のミイラ」である。
昭和28年(1953年)に母屋の改築をおこなった際に、屋根の梁に置かれていた箱から出てきたのが、このミイラであり、箱書きには<河伯>とあったので「河童」と認定された。しかし非常に不可思議な姿形であり、前足5本で後ろ足3本の指など、現存する生物では考えられないような骨格構造をしており、敢えて河童に近い生物だろうという印象である。田尻家では、おそらく筑後時代から代々家に伝わるものではないかと推測している。
河伯とは河童の意味であると同時に、河の神も意味する。河童はきれいな水を好む存在であり、それ故に酒造りにとって最も重要な水を司る神でもあるとして田尻家では神として祀り、毎年12月1日に「河童祭」をおこなっている。それと同時に河童関連のグッズや、酒造関連の道具などの民俗資料を展示しており、観光酒蔵として観光客を受け入れている。
<用語解説>
◆松浦一酒造
正徳6年(1716年)創業。大吟醸・純米・本醸造酒などをはじめ梅酒も手掛けている。観光酒蔵であり、見学は無料(酒蔵見学は要予約らしい)。蔵では試飲もでき、その場で酒を購入することもできる。やや旨口のすっきりした飲み口、飲みやすい酒質だった。
アクセス:佐賀県伊万里市山代町楠久