葛井神社

【くずいじんじゃ】

諏訪大社上社の摂社の1つであり、諏訪大社の大祝の即位の際に御社参りをする13の神社の1つに数えられる。祭神は槻井泉神(つきいずみのかみ)。

この神社の信仰の対象は本殿に隣接する池である。この池は諏訪七不思議の1つ“葛井の清池”に数えられ、色々な伝承が残されている。

最も有名なものは、上社の年中行事の最後となる「葛井の御手幣(みてぐら)送り」の神事である。大晦日に、上社で使われた幣帛や榊、柳の枝や柏の葉を取り下げて、葛井神社に運ぶ。そして寅の刻に前宮御室の御燈を合図に、それらを池に投げ入れるのである。すると翌元日の卯の刻に遠江国の佐奈岐(さなぎ)池に浮き上がってくるという。

またこの底なしの池には片目の魚がおり、それが池の主であり、捕ると祟りで死ぬとも言われている。町中にある何の変哲もない池であるが、非常に神秘的な伝承を持つ場所である。

<用語解説>
◆諏訪大社
本宮と前宮からなる上社、春宮と秋宮からなる下社の計4つの神社。信濃一之宮として崇敬を集める。祭神は、出雲国譲りの際に諏訪へ来た建御名方神と、その妃の八坂刀売神である。また土着信仰の対象であった蛇神のミシャグジ神とも一体視されている。

◆諏訪七不思議
諏訪大社の上社と下社の神事などにまつわる七不思議(上社と下社にも独自に七不思議があり、それらを総合した形で諏訪七不思議が形成されている)。
湖水御神渡・蛙狩神事・五穀の筒粥・高野の耳裂鹿・葛井の清池・御作田の早稲・宝殿の天滴。

◆佐奈岐の池
具体的にどこの池を指すかは不詳。しかし比定地として最も有力なのは、静岡県御前崎市佐倉にある、遠州七不思議の1つ、桜ヶ池である。この池にも龍神に供えるために赤飯を詰めたお櫃を池に沈める「お櫃納め」がおこなわれており、そのお櫃が諏訪湖に浮かび上がったとの伝承が残されている。

アクセス:長野県茅野市ちの