鸚鵡岩

【おうむいわ】

鸚鵡岩は、和合山の中腹にある巨大な一枚岩である。幅120mあまり、高さ30mあまりの巨岩はまさに壮観であるが、この岩の名称はその不思議な構造に由来している。

鸚鵡岩は「言葉を返す岩」として古くから知られていた。霊元天皇の叡覧に供したという記録があり、既にこの時代までには有名であったと考えてよい。江戸時代には伊勢参りの途上にあるという条件もあって、多くの文人墨客がこの地を訪れて、この驚異を記録している。

この巨岩のそばには、今でも“語り場”と“聞き場”と呼ばれる建物があり、この岩の不思議を体験することが出来る。“語り場”で鸚鵡岩に向かって声を発すると、約50m離れた“聞き場”で鸚鵡岩の方角からその声がはっきりと聞こえるというのである。

この鸚鵡岩の不思議の原理はこだまと同じものであり、音が岩に当たって反響した結果であることは言うまでもない。しかし“語り場”と“聞き場”という、声のやりとりが最もはっきり聞こえる地点を先人が見つけ出していることを考えると、案外その仕掛けを理解していたのかもしれない。

<用語解説>
◆霊元天皇
1654-1732。第112代天皇。

アクセス:三重県志摩市磯部町恵利原