伏見寺
【ふしみじ】
金沢の寺町寺院群の1つである。開基は芋掘り藤五郎とされ、藤五郎ゆかりの寺として有名である。
芋掘り藤五郎は、奈良時代にこの地に住んでいたとされる伝説の人物であり、山芋掘りと生業としていた。ある時、初瀬の観音菩薩の夢告に従って、大和国の長者が姫を伴ってやって来て婿とした。貧しいながらも2人は仲良く暮らしていたが、姫の実家から送られてきた金を藤五郎は鳥を捕るために投げつけてしまう。金の価値を知らない藤五郎を嘆く姫であったが、藤五郎はそれが山芋を掘ればいくらでも出てくるものだと告げる。かくして2人は大量の砂金を手に入れ長者となったのである。また藤五郎が掘った芋を洗った沢を「金洗いの沢」と呼んだことから、この一帯を金沢と呼ぶようになったとも言われる。
伏見寺は、信心深い藤五郎が集めた砂金を使って仏像を造って、自らが住んでいた山科の里に近い伏見に建立した寺である。さらにその仏像を開眼供養したのが行基であるため、現在でも行基山伏見寺としている。境内には芋掘り藤五郎の墓があり、堂内には平安前期の阿弥陀如来像が安置されている(拝観有料)。
アクセス:石川県金沢市寺町