神余の弘法井戸
【かなまりのこうぼういど】
その名の通り、弘法大師伝説をもつ井戸である。
昔、弘法大師がこの地を行脚していた時、土地の女が小豆粥でもてなした。大師が食べてみると、全く塩気というものがない。訳を尋ねると、貧しくて塩が手に入らないという。ならばと大師は、近くの川岸に下りて、祈祷しながら錫杖で地面を突き刺して引き抜くと、塩辛い水が吹き上がってきたという。土地の者は後に、この僧が弘法大師であることに気付き、この塩水を出す井戸を弘法井戸と呼んだという。
現在、この井戸は巴川の川中にある。やや黄色がかった水であり、水の湧き出るところからは少しだけ泡が出ているのが分かる。川底から天然ガスが出ており、この効果で塩辛い水となっているとのこと。ただし現在は飲用不可である。
アクセス:千葉県館山市神余