宗岳寺 羽犬塚
【そうがくじ はいぬづか】
筑後市のマスコットキャラクター「チク号」は、翼の生えた犬という奇妙な容姿をしている。これはこの町に古くから伝わる伝説から取られたものである。さらに言えば、この伝承が残されている羽犬塚という地名も、この伝説が由来となっている。
宗岳寺に残されている立派な石塔が羽犬塚である。中央部分に「犬之塚」と彫られており、犬を供養する目的で作られたものであることは明白である。ただし、この羽犬についての伝説は、全く正反対の内容として伝わっている。
天正15年(1587年)4月、天下統一のために九州に攻め入った豊臣秀吉は、この地を荒らし回る怪物・羽犬を退治する。しかしその怪物の知勇に感じ入るところがあり、塚を築いたという。これが一つ目の伝承。
一方、同じく九州遠征を果たした秀吉は、そのお供として羽の生えた犬を連れてきたのであるが、この地でその犬が病死したために家臣が塚を築いたという。これが二つ目の伝承である。いずれにせよ、翼を持つ特異さだけではなく、天下人を魅了し、立派な塚を築かせるだけの不思議な犬だったということになるだろう。
現在、羽犬塚小学校前、筑後市役所前、山の井交差点、羽犬塚駅前には、羽犬の像がある。
アクセス:福岡県筑後市字羽犬塚