源覚寺 こんにゃく閻魔

【げんかくじ こんにゃくえんま】

源覚寺は寛永元年(1624年)創建の浄土宗の寺院である。本尊は阿弥陀如来であるが、最も有名なのは“こんにゃく閻魔”と呼ばれる閻魔像である。この像は鎌倉時代の作と言われ、非常に古い座像である(源覚寺に安置されている由来は不明)。右目部分が割れて黄色くなっているのが一番の特徴で、この姿が“こんにゃく閻魔”と呼ばれる伝承を生み出している。

宝暦年間(1751-1764)のこと。眼病を患った老婆が、閻魔像に治癒祈願の参拝をおこなっていた。すると夢枕に閻魔大王が現れ「満願成就となった暁に、片方の目をお前にやろう」と言った。そして21日間の祈願を終えた時、老婆の片方の目が突然見えるようになり、お礼参りに行くと閻魔像の右目がつぶれていた。老婆はその功徳に感謝し、自分の好物であったこんにゃくを以後口にせず、閻魔像に供え続けたという。

現在でも閻魔像にこんにゃくを供えて祈願するという風習が続いている。「裏表のない板こんにゃくなので、閻魔が好む」との俗説があり、また「こんにゃくを断つ」という言葉が「困厄を断つ」に通じることも信仰につながったとも考えられる。

(下の写真は、探訪の折、閻魔堂改修のため境内の別の場所に安置されていたものを撮ったものです。現在は堂内に安置されているとのこと)

<用語解説>
◆閻魔
仏教で、生前のおこないを判断して亡者の行き先を極楽か地獄と判断する役目を負う。最初に亡くなった人間が閻魔となったともされるが、日本では地蔵菩薩と習合して人々を救済するとして信仰されることが多い。

アクセス:東京都文京区小石川