天狗山雷電神社

【てんぐやまらいでんじんじゃ】

日本三戒壇の一つとして建立された下野薬師寺の鎮守社は薬師寺八幡宮であるが、その境内にあるのが天狗山雷電神社である。

祭神は賀茂別雷神。京都の賀茂別雷神社(上賀茂神社)から勧請したもので、関東一円に広く信仰されている雷電神社とは異なる系統である。また神社の創建は不明であるが、当初より八幡宮の参道入口付近にあり、かつては“雷の雷電宮”と呼ばれていたという。

この“雷の雷電宮”と呼ばれていた頃の伝説。ある農夫がこの社で一心に五穀豊穣の願い事をしていた。すると祭神が天狗の姿となって出現するや「その願い聞き届けられたり」と言い放ったという。その後、この辺り一帯では雹害などの天候不順がなくなり、大いに作物が実ったとされる。そしてこの霊験より“天狗山雷電神社”と名を改めたと伝えられる。

その後この神社は一時期薬師寺八幡宮に合祀されていたが、昭和44年(1969年)に氏子の総意によって再分祀され、現在に至っている。

<用語解説>
◆下野薬師寺
飛鳥時代後期に創建された寺院と考えられており、下野国の豪族・下毛野古麻呂が氏寺としたとも言われる。奈良時代には奈良の東大寺、大宰府の観世音寺と共に日本三戒壇とされ、東日本を統括する官寺となっていたと考えられる。また称徳天皇崩御後に道鏡がこの寺の別当として赴任、事実上左遷させられている。

◆雷電神社
一般に雷除けの神として、落雷多発地帯である北関東を中心に信仰されている神社。総本宮は群馬県板倉町にある。この板倉雷電神社の祭神は、火雷大神・大雷大神・別雷大神となっている。

アクセス:栃木県下野市薬師寺