子産石

【こうみいし】

JR逗子駅から京急バスに乗って約20分。葉山付近の海岸線沿いを走る国道134号線に“子産石”というバス停がある。そのバス停を降りた目の前に、球形をした大きな石が置かれている。これが子産石である。

その名の通り、子産石は子を生み出す。『三浦古尋録』という書籍にも記載されており、古くからその名が知られている。近くの浜辺にある岩場が波に削られていくと、その中から小さな丸い石が出てくるらしい。そしてその不思議な現象から、この子産石は子宝を求める人々から大いに信仰されている。

このバス停そばにある大きな石(これ自体が子供を産む石というわけではなく、子産石信仰の象徴的存在として文化財登録を受けているだけらしいが)に触れた手で腹をさする、あるいは丸い小石で直接腹をさするとご利益(妊婦の場合は安産のご利益)があるという。そして丸い小石は、現在でも近くの浜辺へ行けば拾うことが出来る。浜辺で拾った丸石を持って帰って子宝祈願をすると良いともされる。実際ここを訪れて祈願して子宝に恵まれた方の体験記がネット上にもあり、根強い信仰が続いていると考えて間違いなさそうである。

<用語解説>
◆『三浦古尋録』
文化9年(1812年)頃成立の、相模国三浦郡の地誌。著者は加藤山寿であるが、10を越える種類の写本のみが残されている。三浦半島に関するまとまった地誌としては最も古いものとされている。

アクセス:神奈川県横須賀市秋谷