第六天社 安倍清明大神碑

【だいろくてんしゃ あべせいめいたいしんひ】

鎌倉五山の第一とされる建長寺の門前に、その第六天社はある。この第六天社は建長寺の四方鎮守の一つで、南の方角の守護にあたるという。1674年に徳川光圀が書いた『鎌倉日記』にその存在が示されているので、江戸初期には建てられたと考えられる。

この建長寺にある第六天社はその建てられた理由から考えると、方除けの神としての性格を帯びていると考えるべきであろう。そしてその入り口付近に、何の脈絡もないかのように【安部清明大神碑】が置かれている。この碑もおそらく【鎮宅霊符神】と同じ意味合いで、特に火難除けとして祀られたとみなしてよいかもしれない。

<用語解説>
◆第六天
第六天とは、仏法における他化自在天(神道における第六番目の神)。他化自在天は欲界の最高位にあり、他者の快を己の快とすることが出来るとされる。また第六天魔王(単に魔王とも)と呼ばれる。

◆「安部清明」の名称
歴史上の人名としては正しくは“安倍晴明”なのであるが、実際にはこの「安部清明」と表記する場合もある。それは人形浄瑠璃・歌舞伎の『蘆屋道満大内鑑』などの後世に作られた芝居でのことである。それ故に、この鎌倉の安倍晴明伝承は、江戸期以降に現在ある姿に形成されたと考えてもおかしくないかもしれない。

アクセス:神奈川県鎌倉市山ノ内