おっぱしょ石

【おっぱしょいし】

徳島市内のかなり中心地に、墓が無造作に並んでいる小高い丘がある。無縁寺の墓地である。その一角に“おっぱしょ石”という奇妙な石がある。

一般的な伝承であるが、昔「おっぱしょ」と声を出す石があったという。ある時その前を相撲取りが通りかかると、例のごとく石が喋る。そこでおぶってやったところ、石がだんだんと重くなってきて、とうとう我慢できなくなって放り投げたところ、その石は真っ 二つに割れてしまった。

イメージからすれば「おっぱしょ石」は丸い大きな石という感じなのだが、現地へ行ってみると、『南無妙法蓮華経』と刻まれた板碑である。しかもそれ自体は伝承通り真っ二つになっていて、セメントで繋がれている。だが一説によると、本当の「おっぱしょ石」はその板碑のすぐそばにあった別の石だとも言われている(残念ながらその石は今は所在不明とのこと)。

<用語解説>
◆「おっぱしょ」という方言
徳島地方の方言で「おぶってくれ」という意味になると一般的に解説されているが、実際には「おぶってやろう」というニュアンスの方が自然であるとも言われている。このあたり怪異そのものの根本に関わる内容であり、非常に話がややこしい部分でもある。

アクセス:徳島県徳島市西二軒屋町