大縣神社
【おおあがたじんじゃ】
尾張国二之宮であり、尾張国開拓の神である大縣大神を主祭神とする。創建時期も古く、第11代垂仁天皇27年(紀元前3年)にそばにある本宮山頂から現在地に遷座したとされる。
大縣大神については諸説あるが、尾張藩の儒者・松平君山の“大荒田命”とする説が有力である。大荒田命は丹羽氏の祖であり、その娘である玉姫命は、尾張氏の祖である健稲種命の妻となっている。まさに尾張国開拓の祖神とも言うべき存在である。
境内摂社に姫之宮がある。この宮の祭神は玉姫命。女性の守護神として、縁結び・子授け・安産・子育て・婦人病のご利益があるとされる。またこの社の背後には“姫石”と呼ぶ、女性器そっくりの陰石がある。さらに3月におこなわれる豊年祭では、女陰をかたどった(形状はお多福の顔であるが、口の部分が女性器そのものとなっている)山車が引かれ、薄物の布をかぶった女性(これもその姿形から女性器を模したとされる)が練り歩く。男性器を奉納する田縣神社と対をなす奇祭として広く知られている。
<用語解説>
◆松平君山
1697-1783。尾張藩の書物奉行を務める。儒学の注釈書をはじめ、尾張藩内の地誌や尾張藩士の系譜などの著述をおこなう。
◆健稲種命
父の代より尾張国造。日本武尊の東征に副将として従う。東征の帰路、不慮の事故で水死(珍しい水鳥を見つけ、日本武尊に献上しようとして溺れ死んだとされる)。日本武尊の妻の一人である宮簀姫は実妹。また息子は応神天皇の大臣になるなど、皇室とも縁が深い。
◆田縣神社
小牧市に鎮座するが、大縣神社とは3kmほどの距離にある。大荒田命の館の一部とされ、主祭神の御歳神(五穀豊穣の農耕神)と共に、寡婦となって実家に戻って地域の開拓に尽くした玉姫命も祀られている。
アクセス:愛知県犬山市宮山