光清寺 浮かれ猫絵馬

【こうせいじ うまれねこえま】

光清寺は寛文9年(1669年)、伏見宮貞致親王が生母の菩提を弔うために建立したものである。その後焼失するが、再建。宮家ゆかりの寺院であるため、宮准門跡に列せられる。

境内には宝暦年間(1751~1763)に旧伏見宮邸から移築されたという弁天堂がある。そこに掲げられているのが、経過年で色が落ちていて、さらにガラスの反射などで見にくくなっているが、牡丹に三毛猫の絵馬である(その後退色が激しいため本堂に安置。現在弁天堂には複写が飾られている)。これが“出水七不思議”の1つとされる「浮かれ猫絵馬」である。

江戸時代後期頃、この寺の近くにある遊郭(五番町)から夕刻になると三味線の音が聞こえてくる。その音色に合わせるように絵馬の猫が浮かれ出てくると、女性に化けて踊り始めるようになった。それを見た人達が騒ぎ出して大事になると、住職はそれを不快に思い、法力をもって猫を封じ込めてしまったのである(あるいは金網で絵馬を覆ってしまったとも)。

すると、その夜のこと。住職の夢枕に、衣冠束帯姿で威儀を正した武士が現れ「私は絵馬の猫の化身であるが、絵馬に封じ込められて非常に不自由な思いをしている。今後は世間を騒がすようなことはしないので、どうか許してもらいたい」と懇願した。住職も哀れに思い、戒めを解いたという。

このような伝承が残るため、この弁天堂は芸事、特に三味線の上達に御利益があると言われ、昔は遊郭あたりの芸妓がよく祈願をしていたとされる。

<用語解説>
◆出水七不思議
出水六軒町通から七本松通までの周辺にある七不思議。光清寺の浮かれ猫絵馬、華光寺の時雨松、観音寺の百叩きの門、地福寺の日限薬師、五劫院の寝釈迦、極楽寺の二つ潜り戸、善福寺の本堂。

◆五番町
上七軒管轄の遊郭として、西陣の職人相手に発展する。現在は、一部家屋に名残はあるが、営業しているお茶屋などは残っていない。水上勉の『五番町夕霧楼』で有名。

アクセス:京都市上京区出水通六軒町西入ル七番町