平家の一杯水

【へいけのいっぱいみず】

国道9号線沿いに案内があり、階段を使って浜辺へ下りると、鳥居と覆い屋のある井戸がある。これが平家の一杯水と呼ばれる伝承地である。

寿永4年(1185年)平家は壇ノ浦で滅亡する。その戦いのさなか、平家方の武将の一人が傷つき、壇ノ浦の浜辺に命からがら辿り着いた。喉が渇いて辺りを見回すと、少しばかり水が湧いているところがあった。武将は手のひらで水をすくうと、一口喉を潤した。その味はまさに甘露であった。あまりの上手さに夢中でもう一杯と水を口に含んだ途端、今度は吐き出した。水は先ほどとは打って変わって全くの塩水となっていたのである。

現在でもこの湧水はあり、元日の若水は近くの赤間神宮に供えられるという。

アクセス:山口県下関市前田