間々観音
【ままかんのん】
正式な名称は飛車山龍音寺。しかし間々観音の名称の方が有名であり、さらに言えば、地元では「おっぱい観音」の方が通りがよい。日本唯一の「お乳の寺」とも言われている。
通りに面した山門はとりたてて珍しいものではないが、ひとたび境内に入ると、その通り名を実感させられる。まず手水場には巨大な2つの乳房があり、その前に立つとセンサーで両乳首から水が勢いよく飛び出す。境内にはさらに慈乳観世音という名の像があり、これまた乳首から水を出し続けている。そして圧巻は観音堂横にある絵馬堂であり、紙粘土で作られたと思しき2つの乳房が絵馬に貼り付けられて奉納されている。しかも絵馬に書かれた願い事は、母乳の出を良くしてほしい、胸が大きくなりたいといった、女性の切実な願いばかり。さすがに「おっぱい観音」の通り名は伊達ではない。
この寺の本尊は、弘法大師の持仏であったと言われる千手観音像である。創建は明応元年(1492年)。はじめはすぐそばにある小牧山にあったが、織田信長の命によって現在地に移転した。そして江戸時代初期には、既に「乳の霊験あらたか」との記録が残されている。
村のある女が子供を産んだが、その直後に夫が病死。女は日々の生活に思い悩み、乳が出なくなってしまった。村の者が米を与えて助けたが、女はその米を自分のために食べず、乳の出が良くなるように観音堂へ参拝して供えた。そして観音堂から戻ると、途端に乳が張って母乳が出るようになったという。これ以降、間々観音は乳の霊験あらたかと言われるようになったとのことである。
アクセス:愛知県小牧市間々本町