サイトアイコン 伝承怪談奇談・歴史秘話の現場を紹介|日本伝承大鑑

亀の墓

【かめのはか】

市の南部、瀬戸内海に面してあるのが竜王山という、標高130mあまりのランドマークである。頂上付近からの眺望は素晴らしく、特に山陽小野田市・宇部市の工業地帯の夜景は「日本の夜景100選」にも選ばれ、自動車で頂上まで行くことが出来るためドライブスポットとしても有名である。

この自動車道に面した小高い丘の上にあるのが「亀」と一文字だけ彫られた石柱である。駒札がなければおそらく見落とすほどの地味な存在であるが、これが不思議な伝説を持つ“亀の墓”である。

いつの時代かは不明だが、木戸という場所(竜王山の北側の海岸周辺)に住む与一という漁師がいた。ある日与一は不思議な夢を見る。海亀が現れると「酒を飲ませて欲しい。そして私が死んだら、海の見える見晴らしの良い場所に墓を建てて欲しい」と言って消えた。

不思議に思いながら、翌朝浜へ行くと、一匹の海亀が横たわっている。これは夢に出てきた海亀に違いないと思った与一が夢で言われたとおりに一口酒を飲ませてやると、弱っていた海亀は間もなく死んでしまった。さらに願いのまま近くの竜王山の山頂に遺骸を運んで埋めてやったのである。

それ以降、与一が漁に出ると大漁が続いた。他の漁師達は「これはきっと亀の恩返しだろう」と言い合ったという。

アクセス:山口県山陽小野田市小野田

モバイルバージョンを終了