【ねこづか/ねずみづか】
その昔、御前崎に遍照院という寺があった。そこの住職がある時、難破した船の木片に取りすがって流れてきた子猫を助けて、寺で飼うことにした。
それから10年の月日が流れた頃、遍照院に旅の僧が宿を求めてきた。住職を快くその僧を迎え入れた。そして3日目の夜、突然本堂の屋根裏で何かが格闘する大きな物音がした。翌朝、おそるおそる屋根裏を覗いてみると、寺の飼い猫と隣家の猫が深手を負って倒れていた。さらにそのそばには、旅僧の衣服をまとった大鼠が死んでいたのである。旅の僧に化けて住職を喰い殺そうとした大鼠の企みに気付いた猫が、命を助けて貰った恩義に報いるために、大鼠を倒して住職の危難を救ったのである。
住職はこの2匹の猫を懇ろに葬り、そこに塚を建てた。これが現在でも残る猫塚である。
一方の殺された大鼠であるが、こちらは海に捨てることとなったが、運びきれずに海岸近くにうち捨てられてしまった。すると住職の夢枕に大鼠が現れ、改心して今後は海上の安全と大漁を約束すると伝えた。そこで住職は、大鼠のためにも塚を建ててやったのである。それがねずみ塚である。
アクセス:静岡県御前崎市御前崎