【ねこづか】
県道30号線と92号線の交差点の角にある。塚を中心として小公園が形成され、そばにあるバス停も招き猫の姿をしており、ちょっとした観光スポットなっている。
400年以上昔のこと、この地に西福寺という寺があった。その寺にいつの間にか1匹の大鼠が棲み着き、寺を荒らすばかりか、近隣の田畑も荒らし、人にも危害を加えることすら出てきた。困り果てた住職は、長年飼っていた猫に何とかならないものか愚痴をこぼす。すると猫は不意に姿を現さなくなったが、数日するとまた寺に戻ってきた。そして気付くと、境内至る所に猫が集まりだした。その数は数百匹。おそらく近郷にいる猫のほとんどが集結したのではないかという数である。
その夜、寺では獣が争う大きな物音がしばらく続いた。そして夜が明けると、住職は恐る恐る本堂に入った。そこには大鼠が血まみれになって死んでおり、寺で飼っていた猫を始め多数の猫も息絶えていた。住職はこれらの死体を集めて1つの塚を造った。それが今に残る猫塚である。
それから年月を経て、平成の世。猫塚のある若宮町(後に宮田町と合併し宮若市となる)が町おこしの事業としてデザインし製品化したのが“追い出し猫”というキャラクターグッズである。もちろんアイデアは、猫の大鼠退治の伝説からヒントを得ていることは言うまでもない。表の顔は可愛い顔の招き猫(これがバス停のデザインとなっている)だが、裏を返すと、手に箒を持ってカッと目を見開き怒りの表情を見せる“追い出し猫”となる。良いものを招き、悪いものを追い出す、一石二鳥のご利益が得られる(かも)というコンセプトが受けて、平成7年(1995年)販売開始から人気商品となっているという。
<用語解説>
◆西福寺
浄土宗の寺院。現在は宗像市野坂に移転している。一説では、天正年間(1573-1595)に接譽という僧が開基したとされる。また寺宝に、黒田如水が西福寺に宛てた書状が残されている。移転の詳細な時期は分からないが、江戸中期には現在地にあったという。
アクセス:福岡県宮若市山口