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鳴滝

【なるたき】

国道162号線(周山街道)は福王子交差点から御室川と並行するようにして北上するが、その付近一帯が鳴滝と呼ばれている。このあたりでは、御室川も鳴滝川と呼ばれることが多い。

酒屋の隣に、川岸へ下りて行く路地がある。そこにある小さな滝が鳴滝であり、この一帯の地名の元となった滝である。平安時代にはこの滝は禊の場ともなっていてそれなりに有名な場所であったようだが、この名前が付けられた由来には、不思議な伝説が残されている。

昔、ある雨上がりの午後のこと。村人はこの小さな滝がいつもとは違って大きな音を立てて流れていることに気付いた。不思議に思い、寺の住職に訳を尋ねたが、住職も分からない。ただ不審に思うところがあり、村人に高台に一時避難するように言った。するとその夜、突然大水となり、家や田畑が流されたのである。さいわい村人は全員高台にいて命を落とした者はなかったが、この災害を長く記憶に留めるためにこの滝を鳴滝と呼び習わし、この付近一帯も鳴滝の里と呼ばれるようになったという。

御室川は古来より暴れ川とされ、普段は水量が少ないが、ひとたび大雨になると突然堤防が決壊するほどの水が流れる川であった。実際、近年でも大雨で家屋が浸水した記録がある。

そして鳴滝付近には、たびたび起きた大水の記憶を残しているものがある。それは“洪水”という苗字。今でも鳴滝の地には“洪水さん”という家がが何軒かあるという。

アクセス:京都市右京区鳴滝蓮池町

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