【さえずりいし・しゃべりいし】
県道53号線を中之条町市街地から北上すると、「囀り石」という表示に出くわす。県道に面した道路脇にある巨岩がそれである。
敵討ちのために諸国を歩いていたある男が、この岩で一夜を過ごしていると、人の声が聞こえる。その声は、自分が寝ている岩の中から聞こえてくる。しかも話の内容は、自分の求めている仇にことであり、その居場所まで喋っている。男はその話の内容を頼りに仇を捜し当て、本懐を遂げたのである。
それ以降、岩はさまざまなことを話し出し、またその内容が有益なことが多かったので、人々はこの岩を祀るようになった。しかしある時、通りがかった旅人の前で岩が喋り出したため、驚いた旅人が岩を斬りつけてしまった。それ以来、岩は何も言わなくなってしまったという。
現在もこの岩の上には小さな祠が置かれ、道に面した場所には灯籠があり、それなりに信仰を集めていることがわかる。
アクセス:群馬県吾妻郡中之条町大道