【おおみやはちまんじんじゃ きんぺいだぬき】
八百八狸の総帥である隠神刑部狸の出身地は久谷であるが、金平狸の宗家もこの地の出身とされており、隠神刑部狸に連なる一族とも見られている。
この金平狸であるが、大宮八幡神社の境内にあるイブキビャクシンの樹下に“金森大明神”として鎮座しており、現在ではお籠もり堂も建てられている。また宮司家に仕える狸であり、その忠誠ぶりは、宮司が松山の城下から暗い夜道を戻っていると、いつの間にか神社の紋の入った提灯が先導して道案内したという伝説が残るほどである。そして伊予随一の学者狸とされ、読み書き算盤を得意として、書物を読んだり、算術に長けていたとされる。それ以外にも、里の者にも親切に接し、病人や年寄りの世話や迷子の面倒まで見ていたという。まさに温和な性格の狸の代表と言うべき存在である。
さらに面白いところでは、男前の狸という噂があり、松山城下のお袖狸（こちらは松山一の美女狸）と夫婦であるとされる。現在、狸平（りへい）という息子がおり、札幌の狸小路にある本陣狸大明神（隠神刑部を祀る山口霊神から使わされた「本陣狸」と、木更津の證誠寺の萩乃狸一族である「かずさ御前」の夫婦）の娘・真狸（まり）が嫁いできており、地域活性化に一役買っている。
アクセス：愛媛県松山市上野町