【たくらうしがみしゃ】
野上牛頭天王宮という名でも呼ばれている神社である。元々は牛頭天王を祀る神社であったが、農業振興として岡山藩が牛を飼うことを奨励、それによって牛馬の病気平癒を祈願する神社と変貌していったようである。現在では牛馬に関する願い事だけではなく、一般的な大願成就にもご利益は拡張されている。時代の変化に応じて祈願の対象が変化することは、決して悪いことではない。
この牛神社の祈願の仕方は非常に変わっている。鳥居そばで備前焼の小さな牛像を一体分けてもらう。それを神座(頂上部分に石の牛が置かれているが、これがこの神社の御神体となる)にお供えして、そこから別の小牛像を借り受けて持ち帰る。そして大願成就のあかつきには、借り受けた像と共にさらにもう一体の小牛像をお供えするのである。そのために神座はこの陶製の小牛の像が小山のように積み重ねられている。その数は10万とも20万とも言われる。
<用語解説>
◆牛頭天王
薬師如来が化身した神、素戔嗚尊と同一神とされる。祇園精舎の守護神とされるが、その出自は不明な点が多い。疫病神としての性格が強く、それを祀ることによって病気平癒の神とみなすところが大である。京都の八坂神社の祭神として有名であるが、姫路の広峰神社から勧請されている。
アクセス:岡山県備前市吉永