【くびじぞう】
山梨市内の中心部から県道31号線を道なりに進むと、その途中で出くわすのが首地蔵である。道にはみ出すように置かれている巨石の上にちょこんと地蔵の首が置かれている姿はインパクトがあるし、実際に奇怪な伝説が語り継がれている。
昔、大雨が降って地盤が緩んでいたとき、山の上から巨石が転がり落ちてきた。そして不幸なことに、子守をしていた“おみよ”という12才の少女がこの巨石の下敷きとなって赤子もろとも死んでしまったのである。それから間もなくして、この近くに住む赤子が激しい夜泣きをするようになった。さらには巨石の周りで女の子のすすり泣く声がし始めた。これは死んだ“おみよ”の祟りであると村人は思った。ある時、旅の僧が通りがかりこの噂を聞くと、供養のためにと石で地蔵の頭を造り巨石の上に乗せたところ、怪異が嘘のように収まったのである。それから村人はこの地蔵を欠かさず供養しているという。
その後、道路拡張工事がおこなわれ、この巨石を撤去しようということになった。石を割るために石屋が穴を空けたところ、高熱を出して寝込んでしまった。祟りということで撤去は沙汰止みとなり、結局、巨石を迂回するように道路が造られたのである。また別伝では、巨石はもともと道路の反対側にあったが、それを現在地に移し替えた時に事故が起こって工夫が大怪我をしたとも言われる。
アクセス:山梨県山梨市水口