サイトアイコン 伝承怪談奇談・歴史秘話の現場を紹介|日本伝承大鑑

夫婦岩(西宮)

【めおといわ(にしのみや)】

【牛女】関連の2つの寺院、鷲林寺と神呪寺のちょうど真ん中を六甲へ抜ける道が縦貫している。そしてこの2つの寺院へ別れる道のほんの少し手前に、車線を分断するかのように巨大な岩がある。まさしく“何らかの理由によって取り除くことができなかった岩”である。

正式名称を夫婦岩という。しかしこの岩の最もインパクトのある通称は“おめこ岩”、関西弁で女性器を指す言葉である。おそらくこの巨岩が真っ二つに裂けているところからその名が付いたものと推測される。この六甲山周辺は奇岩・巨岩が多くあり、ある意味この種の岩石の宝庫である。おそらく山頂付近より転がり落ちてきたものであることは間違いない。

この夫婦岩は、やはり不気味な噂に彩られている。道を作るのに邪魔だといってどかそうとしたら死傷者が出た。この岩に触ったり悪戯をすると怪我や病気をする。かなりまことしやかに言われている噂のようである。

そして【牛女】に関係する怪情報もあった。真夜中にこの岩の上で誰かが怪しげな踊りをしていた。よく見るとその顔は牛で、赤い着物を着ていたというのである。あるいは、この岩に悪戯をしようとすると、いきなり長い髪の女性が四つん這いになって追いかけてくるらしい(これは【件】に似た【牛女】の情報である)。

…と探訪した時は県道のど真ん中に鎮座していたのだが、安全対策のために県道を西にずらして、夫婦岩を道路脇にやる工事がおこなわれるという。新聞記事によると、地元古老の証言として「1938年に阪神水害の復旧工事で国が岩を爆破しようとしたら、工事関係者が急死した」という話が残っているらしい(公式な記録には記載なし)。また関係者によると、道をずらす案は出たが、岩をどかす意見はなかったという。祟りの伝承は生き続けている。

アクセス:兵庫県西宮市鷲林寺町

モバイルバージョンを終了